2018年に参加した映像作品「Return to the Sea」がCICLOPE ASIA 2019に入選し、さらにファイナリストに選ばれました。この映画祭は、映像業界において非常に権威のあるイベントであり、そのレベルの高さは世界的にも知られています。この作品では私は撮影と編集、そして監督を担当しました。

入選作品を見ると、斬新なアイデアやハイレベルな映像技術を使った作品が多数ありました。しかしながらこの映像は、山本基さんという現代美術家が創る繊細な塩のアート、そして彼の物語を、シンプルなドキュメンタリー形式でどのように表現できるかに重点を置いたものでした。

撮影の段階では、どんどんと状況が変わっていく中で、常に最適な画の切り取り方を考え、そして頭の中でカットを並べ、ストーリーを構築していきました。また編集においては、映像のテンポと「間」を大切にすることに注力しました。「間」というものを上手く使うことは簡単ではありませんが、日本の映像作品においては古くから「間」の使い方に定評があるものが多く、今回は私もその手法を取り入れました。

この作品が入選したことで、私の持つ「間」の感覚が評価されたことは、大変嬉しいことでした。斬新なアイデアや最新の映像技術が必ずしも必要とされるわけではなく、ビジュアルとストーリーテリングの力で、人々の心を動かす映像を創り上げることができるということを再確認できました。CICLOPE ASIA 2019でファイナリストに選ばれることができたことは、このような撮影と編集のスタイルで映像作品を制作することの意義を深く感じさせてくれる貴重な経験でした。

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